夏のお出かけを浴衣で楽しみたいと思っても、毎日着るものではないので下駄と草履のどっちを履けばいいのかわからないと悩む人は多いようです。
そこで浴衣に合わせる履物の選び方や痛くならないためにできること、下駄・草履・雪駄の違いなどについて次のようにまとめて紹介します。
▼この記事に書いていること
下駄の代わりに合わせられるものがあるかどうかや、素足ではなく足袋や靴下を履いてもいいのかどうかも解説するので、浴衣の履物選びの参考にしてくださいね。
浴衣は草履と下駄どっち?一般的な履物は?
引用元:pixabay
本来浴衣に合わせる履物は下駄が一般的でした。
しかし最近では浴衣の用途が変化したことや似合うデザインの草履が増えたこともあり、どっちを履いても構わないと考えられています。
元々浴衣は庶民の寝間着だったので、足元も気楽に履ける下駄を合わせていました。当時草履は着物に合わせるフォーマルな履物だったんですよ。
現在でも昔のイメージが残っており、草履より下駄の方が浴衣らしいと感じる人が多いようです。
草履と下駄の違い
草履と下駄はどちらも鼻緒をすげた和服用の履物ですが、素材や形に違いがあります。
▼草履と下駄の違い
草履 | 下駄 | |
---|---|---|
素材 | コルク芯やイ草 (皮や布を巻く) |
木の台 (桐が多い) |
かたさ | 伸縮性がありしなる | かたい |
形 | 底がフラット (厚みはさまざま) |
底に歯がある |
音 | 音が鳴りにくい | カランコロンと鳴る (音が鳴りにくい素材で 作られたものも増えている) |
草履がフォーマルシーンでも活躍するパンプスのような存在なのに対し、下駄はカジュアルに普段履きするサンダルのような履物です。
浴衣に合う下駄の選び方
引用元:Pexels
浴衣に合わせるポピュラーな履物とはいえ下駄にも種類があるので、次のようなポイントに注目して選びましょう。
特に下駄台は種類が多いので、違いを理解して選ぶといいですね。
①下駄台の種類
下駄台の違いは主に歯にあり、形によって履きごこちや歩きやすさが違うので、選ぶ際には注目してください。
▼主な下駄台の種類と特徴
名称 | 形 | 特徴 | |
---|---|---|---|
駒下駄 | 二枚歯 | ・一般的な下駄の形 ・前に倒して歩く |
|
のめり | 千両下駄 | 前歯が斜め(三角) | ・しゃれた印象 ・前に倒しやすく歩きやすい |
後丸下駄 (小町下駄) |
・前歯が斜め(三角) ・後歯がかかとに沿う (丸い) |
・しゃれた印象で歩きやすい ・安定感が増す ・歯が減りにくい |
|
右近下駄 | ・小判型の下駄台 ・台にカーブがある ・ハイヒール状 ・裏がゴム張り |
・現代の一般的な形 ・滑りにくく歩きやすい |
|
舟形下駄 | ・底がフラット ・裏がゴム張り |
・草履に近い形状 ・女性用 |
下駄と聞いてイメージしやすいのは駒下駄ですが、最近では浴衣用として販売されているほとんどが右近下駄と言われるほど一般的になっています。
下駄に不慣れな人は、右近下駄や舟形下駄が歩きやすくておすすめですよ。
②鼻緒の色
浴衣との相性を考えるなら、鼻緒の色でコーディネートを楽しむといいでしょう。
▼浴衣と下駄のコーディネート例
- 浴衣と鼻緒の色を合わせる
- 帯や巾着・鼻緒など小物の色を合わせる
- 男性は黒の鼻緒にするとシックな印象
- 白っぽい無地やレースにするとどんな浴衣にも合わせやすい
浴衣や帯とまったく同じ柄にする必要はありません。目立つ色やポイントとなる柄をピックアップして合わせるだけで、十分統一感が出ますよ。
③サイズ
浴衣用に限らず、和服に合わせる下駄や草履は足の実寸より小さめサイズを合わせ、かかとが少し出るくらいが粋だと考えられています。
しかしかかとや側面が下駄からはみ出ると痛みを感じる場合もあるので、不慣れな人は足がピッタリおさまるサイズを選んでも構いません。
ただし下駄は履いて歩いているうちに鼻緒が馴染んでくるので、新品の状態で余裕があると履いているうちに伸びて緩みが出ます。
緩い下駄を履いて歩くと足と鼻緒が擦れて痛くなるので、若干きつめに感じるサイズの購入をおすすめします。
下駄の履き方|浴衣を綺麗に見せる歩き方は?
引用元:pixabay
下駄は洋服用の靴とは履き方・歩き方が少し異なります。
▼下駄の履き方のコツ
- 小指が外に出るイメージで少し斜めに履く
- 指またと鼻緒に隙間があってもいい
- かかとが1cm程出る方が粋に見える
ピッタリ合わせたい靴と違い、下駄は小さめサイズを引っかけるようにするのが粋な履き方とされています。
反対に鼻緒をしっかり押し込むと上品な印象になりますが、指の付け根が痛くなる場合もあるので注意してくださいね。
また歩く際はかかとから降りないように気を付けましょう。
▼下駄の歩き方
- 前に倒して歩き、まっすぐ地面に降りる
- 歩幅を狭くする
- 重心を前にする
後ろから地面に降りると、かかとが痛くなるのでまっすぐもしくはつま先側から降りるように注意してください。
こちらの動画は履物屋さんが履き方・歩き方の両方を紹介しているので、参考になりますよ。
歩幅を狭く小股で歩くと浴衣の裾がはだけずきれいに歩けるので、女性だけでなく男性も意識するといいでしょう。
浴衣の下駄&草履で痛くない方法
下駄や草履を履いたとき鼻緒擦れに悩まされる人は多いですが、痛くならないために対策できることがあります。
- 指の付け根まで鼻緒を入れない
- 鼻緒をほぐす・しっかり開いて履く
- 鼻緒が太めでサイズの合う下駄を選ぶ
- 予め絆創膏を貼っておく
- ワセリンを塗って滑りをよくする
- 鼻緒カバー付きのインソールを使う
- 足袋を履く
新品の下駄や草履は鼻緒がかたいので、履く前によく伸ばし両側を開いて履くと、締め付けが緩和されて足に馴染みやすくなります。
お出かけ前に少し歩いてほぐすのもいいですね!鼻緒が馴染むうえ、歩く練習にもなって一石二鳥です。
それでも不安な場合は、予め親指と人差し指の股に絆創膏を貼って保護したり、鼻緒カバーと滑り止めを兼ねたインソールを活用するといいでしょう。
引用元:Amazon – Morices トングカバー つま先インソール
指股を保護するだけでなくシリコンパットが滑り止め効果を発揮し、足が鼻緒に押し付けられるのを防ぎます。
下駄に限らずトングサンダルにも活用可能です。
参考価格 | 759円(3セット入り) |
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途中で痛くなると辛いので、できるだけの対策をしてお出かけくださいね。
浴衣で下駄以外の代わりは?
引用元:Pexels
浴衣は普段着として気軽に着る着物なので履物もある程度自由に選べ、なかでもサンダルは鼻緒がなくても相性がよく、着こなしやすいといえるでしょう。
▼下駄代わりにできる履物例
履物の種類 | 合わせ方のポイント |
---|---|
ビーチサンダル (鼻緒あり) |
・底は厚めの方が相性よし ・鼻緒が太めの方が合いやすい ・和柄を選ぶといい |
サンダル (鼻緒なし) |
・太めストラップの方が楽 ・底は厚めの方が相性よし |
クロックス | ・よりカジュアルな印象 |
スニーカー | ・かなりカジュアルな印象 ・浴衣や帯の着こなしにも、 カジュアルさを取り入れるとよい |
底が柔らかく鼻緒が太めのサンダルなら、形状は下駄によく似ていても履き心地はかなり楽になります。
引用元:Amazon – [Fastflows] ビーチサンダル 厚底
ベージュの底に鼻緒があしらわれたデザインなら履いた見た目は下駄と大きく違わないので、浴衣に合わせても違和感なく着こなせますよ。
参考価格 | 1,380円 |
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クロックスやスニーカーを合わせる場合、ただ履くだけではいかにも「下駄がなかったから仕方なく」のように見えてしまいます。
帯や小物にデニム素材やベルトを合わせる・キャップを被るなど、あえての着こなしだとわかるようにコーディネートするといいですね。
メンズの浴衣には雪駄?下駄?
引用元:Pexels
メンズ浴衣に合わせる履物としても下駄がもっともポピュラーですが、草履や雪駄、サンダルを履いても構いません。
特に雪駄や草履は下駄よりも柔らかい和服用の履物なので、着物らしさと楽さの両方をかなえられるでしょう。
木の台で歯がある下駄に対し、雪駄と草履はフラットで芯に布やイ草を合わせたよく似た作りですが、雪駄の方がフォーマルです。表が畳地で裏に鋲が打たれているのが特徴で、歩くとチャリチャリと小気味のいい音が鳴りますよ。
「下駄のカランコロンという音が好きだけれど歩くのが辛そう」と感じる人は、草履より鋲の打たれている雪駄を選ぶといいかもしれませんね。
浴衣で足袋や靴下を履いても大丈夫?
浴衣は夏の着物なので足元も涼しく素足に下駄を履くことが多いですが、足袋を履いても構いません。
足袋を履くと少しフォーマルな印象になるので、襦袢を合わせて浴衣を着物っぽく着こなす場合によく似合いますよ。
カジュアルにおしゃれを楽しむなら、レース素材の足袋や二本指の靴下を履くのもいいでしょう。
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接触冷感で吸湿速乾性に優れたベンクールの裏地にレースの表地を合わせた足袋で、足元を涼しげかつ華やかに装います。
底は綿+ポリエステルで強くこはぜ付きの足袋なので、浴衣に限らず振袖のような着物にも使えますよ。
参考価格 | 2,980円 |
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二本指靴下にも、浴衣に合わせやすいレース地のアイテムがあります。
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履き口がゴムなので着脱しやすく、履き心地もとても楽です。
肌が透けるのでカジュアルな印象にはなりますが、見た目も体感も涼しいですよ。
参考価格 | 385円 |
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浴衣は自由に着こなしていい着物なので、全体のバランスやだらしなくなっていないかに注意しつつ、自分らしいコーディネートを楽しんでくださいね。
まとめ
浴衣を着るときの履物は何がいいのかについて解説してきました。
- 本来浴衣には下駄を合わせるのが一般的だった
- 草履や雪駄を合わせてもいい
- かかとが1cmほど出ると粋な着こなしになる
- 履く前に鼻緒をほぐすと痛くなりにくい
- 親指と人差し指の間を絆創膏やインソールで保護する手もある
- サンダルやスニーカーを合わせてもいい
▼下駄・草履・雪駄の違いまとめ
素材・形 | 特徴 | |
---|---|---|
下駄 | ・木の台(桐が多い) ・歯がある ・形のバリエーションが豊富 |
・昔の普段履き ・歩くとカラコロ音が鳴る |
草履 | ・芯に表裏を合わせる (布や皮) ・底がフラット |
・底の厚みはさまざま ・下駄よりはフォーマル |
雪駄 | ・芯に表裏地を合わせる (表が畳地が多い) ・底に鋲が打たれている |
・もっともフォーマル ・歩くとちゃりちゃり音が鳴る |
和服なので格式高いのではとイメージされることもありますが、浴衣は元々寝間着のような普段着なので、小物合わせや着こなしは比較的自由です。
おしゃれにこだわりや自信がある人は、スニーカーを合わせてかっこよく装うのも良いでしょう。
下駄を履く場合は痛くならないように、鼻緒を伸ばしたり指股を保護してお出かけを楽しんでくださいね。