お祭りや街歩きを浴衣で楽しみたいけど着付けができないと諦めたり、旅行先で旅館に用意されている浴衣の着方がわからず困ったりしたという経験のある人は多いですよね。
コツさえつかめば自分でも簡単に着られるので、身近に楽しめるように男性・女性別の浴衣の着方や最低限必要なもの、着こなしのポイントなどについて解説します。
▼この記事に書いていること
浴衣を着たときの立ち振る舞いマナーも紹介するので、日本文化を素敵にカッコよく着こなしてくださいね。
浴衣の着付けは自分で簡単にできる?
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人に着付けてもらわなければ…というイメージを持たれることが多い浴衣ですが、実は自分でも簡単に着られます。
ただし手順やきれいに見せるコツを知らなければどんなに頑張ってもうまくいかないので、押さえるべきポイントを理解しましょう。
それぞれの着付け方法を動画もあわせて紹介するので確認して、自分で着付けられるようになってくださいね。
浴衣の着方&着付けの女性編【動画】
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女性の場合、夏祭りで着るような通常の浴衣とホテルや旅館に用意されているものでは形が違い、着方も大きく異なります。
自分で簡単に着られるようにそれぞれの手順を動画付きで解説するので、参考にしてください。
浴衣の着方
女性が浴衣を着る際に難しいと感じるのは腰でたくし上げる「おはしょり」ですが、紐を正しく使えば簡単に美しく着られます。
▼浴衣を着る手順【女性】
- 浴衣を羽織る(背中の中心を合わせる)
- 着丈(裾の位置)を決めて体にあてる(巻きつけるイメージ)
※右手側⇒左手側の順 - 腰紐を巻く
※中央を持ちウエストにあてる⇒左右を後ろに回して交差⇒前でしっかり締める
※紐の余った部分は浴衣の間に差し込む - 身八つ口(浴衣の脇の空いた部分)から手を入れおはしょりを整える
- 背中を引っぱって衿を抜く(こぶし1個分程度)
- 着付けベルトを左の身八つ口から入れて留める
※下前を挟む⇒後ろから右に回す⇒反対側で上前を挟む - 右手で腰紐の中央を持ち後ろで交差⇒前でしっかり締める(位置は胸の下)
- 背中のしわやたるみを伸ばしておはしょりを整える
- 伊達締を巻く
※平らな方を前に⇒後ろで交差⇒前で締める
着付けベルトを持っていなければ、6番は省略できます。
項目はとても多く見えますが一つ一つの作業は簡単で、紐の種類や順番を間違えなければ簡単に着られるはずですよ!
帯の結び方には多くの種類がありますが、若い娘さん向けにはリボン結びが簡単です。
▼帯の結び方(リボン)
- 帯を半分に折り(手先)50cm程度のところで伊達締に留める(袋の部分が下)
- 帯を開いて2周する(しっかり締めながら)
- 内側に織り込んで三角を作り、手先を上から回してひと結び
- 長い方(たれ)を蛇腹にたたみ、手先を中心に巻いてリボンを作る
- 形を整え、手先の端は帯に通して仕舞う
- 帯の結び目を後ろに回す
ぜひ挑戦してくださいね。
旅館&温泉浴衣の着方
旅館や温泉ではおはしょりのない浴衣を用意されていることが多いので、より簡単に着られます。
▼温泉浴衣の着方【女性】
- 浴衣を羽織る(背中の中心を合わせる)
- 右手側⇒左手側の順でしっかり体に巻き付ける
- 背中を引っぱって衿を抜く
- 帯を巻く
※中央を持ちウエストにあてる⇒後ろで交差⇒前でしっかり締める - 腰で蝶結びにする
帯の長さによって蝶結びにしたり片花結びにしたり、調整してくださいね。
浴衣の着方&着付けの男性編【動画】
引用元:pixabay
男性の浴衣は女性とは異なりおはしょりがない仕立てになっているので、着付けがとても簡単です。
しかし通常の浴衣と温泉浴衣では帯が違うので、手順を確認して間違えずに着こなしてくださいね。
浴衣の着方
男性用の浴衣は羽織って合わせて結ぶだけなので、誰でもそれなりの着付けが可能です。
▼浴衣を着る手順【男性】
- 浴衣を羽織る(背中の中心を合わせる)
- 右手側⇒左手側の順で体に巻き付ける
- 腰紐を巻く
※中央を持ち腰にあてる⇒後ろに回して交差⇒サイドでしっかり締める
※紐の余った部分は浴衣の間に差し込む - 衿の合わせを確認し浴衣のしわを伸ばす
浴衣をピシッと着られたら帯を結びましょう。基本の「貝の口」結びの手順を紹介します。
▼帯の結び方(貝の口)
- 帯を半分に折り(手先)30cm程度のところで腰紐に留める(袋の部分が下)
- 帯を開いて2周する(しっかり締めながら)
- 長い方(たれ)を内側にたたみ、手先を下にしてひと結び
- 手先を折り上げ、たれを上から下に折り下げくぐらせて結ぶ
- 帯の形を整え後ろに回す
帯を回すときは浴衣が着崩れないように、左から右に回してくださいね。
旅館&温泉浴衣の着方
男性の場合は通常の浴衣と温泉浴衣で着方はあまり変わらず、腰紐なしで直接帯を巻いて結びます。
▼温泉浴衣の着方【男性】
- 浴衣を羽織る(背中の中心を合わせる)
- 右手側⇒左手側の順で体に巻き付ける
- 帯を10cmほど残して(手先)腰の位置で押さえ、2周巻く
※手先を上に出す - 手先を下にしてたれを上から巻いて結ぶ
- たれを内側に折り、輪に手先を通して締める
たれで結ぶか輪に手先を通すかの違いはありますが、この結び方も仕上がりは貝の口です。
貝の口結びは男性に限らず女性でも使えるので、マスターしておくととても便利ですよ。
浴衣の着付けで最低限必要なものは?
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浴衣の着付けは意外とシンプルなので、準備物もそれほど多くはありません。
着付けを簡単にする便利グッズもありますが、「これさえあれば何とかなる」といえる必要最低限のアイテムを男女別に紹介します。
▼浴衣の着付けに最低限必要なアイテム
アイテム名 | 必要数 | 用途 | |
---|---|---|---|
女性 | 男性 | ||
浴衣 帯 肌着 草履 |
1セット | 肌着は和服用がベスト (なければ首と衿が大きく開いたもの) |
|
腰紐 | 2 | 1 | 浴衣を留める |
伊達締 | 1 | ー | おはしょりを固定する |
帯板 | 1 | ー | 帯の形を整える (なくても着付け自体は可能) |
クリップ | 1 | 1 | 帯を巻く際に固定する (洗濯ばさみで代用可能) |
腰紐代わりにゴムベルトを使用したり、女性の場合は着物ベルト(コーリンベルト)を用意したりするとさらに着付けが楽になりますよ。
浴衣の男女の違い
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男性用と女性用の浴衣は、長さや袖など形やつくりそのものに違う部分があります。
▼浴衣の男女の違い
男性 | 女性 | |
---|---|---|
長さ (丈) |
浴衣の長さ=着丈 | 男性用より長い (おはしょりを作るため) |
衿肩 | まっすぐ | くりこしがある (衿を抜くために 少し後ろに下がっている) |
袖 | 身ごろと合わさっている | ・身ごろと縫い合わさっていない ・袖の内側が開いている |
帯 | 細い (角帯) |
太い (半幅帯) |
腰でたくし上げて衿を抜くなど着物らしい独特の着方をする女性用と比べ、おはしょりも衿抜きもしない男性用はまっすぐシンプルな作りです。
装飾が少ない分、すっきりと男らしく着こなせるといいですね。
男女別の着こなしのポイントは?
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男性と女性では浴衣の形そのものが異なりますが、素敵に見える着こなし術も違っています。
粋な着こなしにするためのポイントは次の通りです。
▼【男女別】浴衣を上手に着こなすコツ
男性 | 女性 | |
---|---|---|
衿 | 喉のくぼみが見える程度 | ・詰め気味の方が品よく見える (喉のくぼみが少し見え 鎖骨が隠れる程度) ・衿はこぶし1個分程度開ける |
帯 | 腰骨からお腹の下あたり | 胸の下 |
丈 | くるぶしの上あたり | くるぶしの真ん中あたり |
男性と女性では帯の位置が大きく異なります。
女性は上で結んで可愛らしく、男性は腰骨の位置に下げてすっきり見せてくださいね。こなれた印象になりますよ。
また男女問わず次のようなポイントに注意するのも大切です。
▼男女共通の着こなしポイント
- 背中の縫い目をまっすぐにする
- 裾が広がらないように身ごろを少し引き上げて着付ける
着付けの際に少し引き上げながらしっかり身ごろを巻き付けると、裾がすぼんできれいにまとまり着崩れも防止できますよ。
浴衣を着た時のマナー
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浴衣を着ているときは、動きや身のこなしを誤ると上品さに欠けたり着崩れやすくなったりするので、所作にも注意を払いましょう。
- 歩幅を少し小さめにして歩く
- 椅子には浅めに座る
- 足を揃えて座る
- しゃがむ:前かがみにならず膝を揃えて腰から下ろす
- 車の座席に座る:後ろ向きにお尻をおろす⇒両足を揃えて前を向く
- 腕を大きく上げない(脇を開けない)
- 階段を上るときは裾を少し持ち上げる(裾踏み防止)
- 食事中手を伸ばすときは反対の手で袖を押さえるかつまむ
洋服とは違い浴衣を含む和装は、大きな動きをすると着物がはだけて肌があらわになります。
動作はなるべくコンパクトにすることで品よく見えて着崩れも防げ、美しい浴衣スタイルをキープできますよ。
まとめ
浴衣の着方や着こなしのコツを、男性・女性別に紹介してきました。
- 男女ともに自分で着付けできるが男性の方がより簡単
- 女性:丈を決めて腰紐で留める⇒おはしょりを作る⇒腰紐・伊達締で留める
- 男性:丈を合わせて腰紐で留める
- 浴衣を紐できっちり留めてから帯を巻く
- 温泉浴衣は男女ともにおはしょり・腰紐なしで直接帯を巻く
- 貝の口結びを覚えると便利
- 所作を小さくすると着崩れしにくい
敷居が高く感じる和服の着付けですが、浴衣は順序を守れば自分でも簡単に着られます。
背中や脇の縫い目がまっすぐなるように合わせ、しわをきれいに伸ばして着付けましょう。
夏祭りやちょっとした外出に日本の文化を取り入れ、粋ないでたちで颯爽とお出かけくださいね。